【おさるのもおすけ日記】憧れの厳冬期ヴァリエーション・後編

2014. 3 11   快晴

さ:『ほいじゃあ、そろそろロープを出しますかね。』

と、さぶちゃんがロープを出してくれた。

140311_13ロープとさぶちゃん。

この人、どんどん成長していってます。

山を始めたのは、私と同じ2009年のはずなのに。

もともとの体力に加え、ずば抜けた運動神経とド根性ですから上達しないわけがありません。

しかも、縦走&クライミング両方やってるところがいい!(大抵はどちらかに偏る)。

アルパインクライミング。

目標とするところです。

で、ここでロープの用意をして、目指す方を眺むる。

140311_14さて、それじゃあ行きますか。

でも。

ここからが大変だった。

無名峰までの痩せた尾根は、当然ながら選択肢がない。

尾根沿いは完全にノートレース。

おそらく途中まであったトレースの人達も、この手前で敗退したと見える。

一歩進める度に腰ラッセル。

さすがのさぶちゃんも疲れてきたので、先頭を代わる代わる進むも時間ばかり食ってしまう。

『このままじゃ、無名峰に着いて今日は終わりかな・・・。』

ラッセルして、無名峰に着くのは12時ごろ。

それから核心部のガリーを登って阿弥陀岳に登頂して御小屋尾根を下って・・・・

は、日帰りでは厳しいだろう。

それでも何とか少しでも上に行きたい。

登りたい。

高みからの景色を見ておきたい。

言葉にせずとも、思う所は同じ。

さぶちゃんと必死にラッセルする。

—–

ようやく無名峰に辿り着く。

さ:『ここから2時間で山頂かぁ。』

無理だな今日はここまでか、という残念だけど体力的にはホッと出来る言葉が 続くかと思われたが。

さ:『じゃあ、行きますか。』

ええ。

流石 さぶちゃん。

そうよね。

こんなにしんどい思いしてここまで登って来たんだもんね。

山頂からの景色を拝まない事には、やりきれないわ。

うーーん、これもまた人生と同じ。

頑張った分だけ、最高の楽しさや幸せを享受してこそ人生。

努力だけの人生なんて、正直楽しくもなんともないわ。

山頂まで登ってこそ、山。

楽しんでこそ、人生。

行きましょう行きましょう。

疲れた太腿は、この際 無視して。

きっと私達ならやり遂げられるはず。

—–

まずはさぶちゃんが、慎重に雪庇の横を歩く。

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 ここも膝上ラッセルね。

ウォーリーじゃなくて、さぶちゃんを探せ。

140311_16おいらは紛れて木々の中。

そう、それは危なくて覗くことも出来ないこんなトコ。

140311_17どこまで岩があって、どこから雪庇だ?

はっきり言って、雪山は勘が命だと思う。

プロに言わせたら『経験から基づく推測』なのだろうけど、それでもおやびんがよく言う『絶対、はない』。

すべてが雪で覆われた山のどこを選ぶか。

何を正しいとするか。

天候は勉強で、ルートも雪質も経験で おおよその推測は立てられても、それさえも超えた状況の時は

最後は『直感』がモノを言う、と思う。

直感=五感の集合体。

日常生活でも、五感を研ぎ澄ます事を意識している。

無意識の所で感じる五感を無視せず大切にしていると、直感が研ぎ澄まされてくる。

そうすると、山でここぞの時に全細胞が研ぎ澄まされて、直感が働くのだ。

それは極限状態の時に、自分を助けるものになると思っていますが、皆さんはどうですか?

話が逸れました。

私と同じく動物的勘で生きてるオトコ・さぶちゃんと二人、雪庇を抜けて岩場の取り付きまで。

140311_18この上行ったら休憩しよっか。

ようやく視界を遮るものがなくなった所まで、登ってきました。

長かったー。

ようやく足がもぐらない稜線まで登って来たので、核心部前に小休止。

ここまで登って来た道が一望。

140311_19あのぽっこり開けた広場も、ラッセル三昧の樹林帯の尾根もよく見えます。

そして阿弥陀岳南稜の核心部・ガリーに取り付く。

確かに傾斜は凄く、滑ったりしたら最後だ。

さ:『ここに支点があるから、ロープ出そうか?』

も:『大丈夫。アックスの効きがいいし、これなら自分で登れる。』

アイスバーンだったら相当怖いと思うここも、幸いな事にアックス・アイゼンの効きはいい。

それにロープを付けていないとは言え、アイスクライミングの垂壁に比べれば怖くない。

これならいける。

さぶちゃんの後を、慎重に付いて登って行きます。

140311_20膝が付くほどの傾斜、上を見上げる。

と、頼もしいさぶちゃんですが。

さ:『な、ずっと登ってると、ふくらはぎがプルプルするだろ!?』

も:『するけどさぶちゃん、前爪だけで登ってるからなるんだよ。

  傾斜がきつくても、足の裏全部雪面につけて登れば疲れにくいよ。』

さ:『あ!? お、ほんとだ。楽だ。』

・・・・・って、この人これまでずっと そんなしんどい登り方してたの?

それで登れてたってことは、どんだけふくらはぎ筋肉あるのよ。

常識を知らないオトコ・さぶ。

身体能力だけでここまで来ています。

そんなさぶちゃん、イヤ~な崩れる雪面をトラバース。

もちろん下は遥か彼方まで、のおっかない所。

140311_21こういうところが一番怖いよね。

確かに。

でも、垂直な壁を降りる方が私は怖いので、私、トラバースはまだ平気なんです。

自分のアイゼンだけ引っ掛けたりしないように、つまずかないように慎重に行けば。

こうして二人、核心部を越え、山頂まであと少しって所まで着ました。

—–

お腹も空いたのでおやつタイム。

さっきより更に高度が増して視界、良し!

秋に訪れた権現岳も、黒い尖がりがぽちっと見えて。

■  皆大好き宴会山行

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稜線出てから、ずっと眺められてシアワセの権現岳。

あの時は本当に楽しかったよねー、なんて言いながらおやつをぱくぱく。

140311_24それにしても しろぷーのおかきは美味しいな。

そうでしょそうでしょ、厳選されたウマウマおかきのオリジナルミックスだもの。

おかきを奪われ、権現を眺めてる私。

140311_25ここまで登れてよかったね。

ほんと、さぶちゃんとじゃなきゃ体力的・時間的にもここまで来れない。

さぶちん、おつきあい頂きありがとう。

とお礼を言いながらおかきを奪回。

ぽりぽりぽり。

もおすけミックス最高だね、とか思っていたら、出ました!久々のさぶちゃんカメラ。

140311_26さぶちゃんと言えば指入りショット。

最近、ご隠居と新弟子の写真しか引用してないですからね(さぶちゃんは写真さえ撮らなくなった)。

久し振りのさぶショット、PCで見つけて笑いました。

—–

ここから山頂までは、すぐ。

先を歩いていたさぶちゃんでしたが、山頂手前になると振り返って座り込み。

さ:『しろぷー、お先にどうぞ。』

って。

自分はここからのルート、登頂した事があるから私に先頭を譲ってくれたのです。

さぶちゃん、ほんといい人。

有難くもおすけ、先頭を行かせて頂きます。

そして、ぽっかりと開けた阿弥陀岳山頂。

ここからのアングルで山頂を見られた喜び。

まっすぐ進めば、目の前に先日通ったばかりの赤岳・中岳(是非クリックしてUPで見てね)。

140311_27今日も最高のお天気!

いやー、ここからの登頂は達成感あるねー。

いやよく頑張ったよなー、おれ達。

トレースなしで二人でここまで、よく頑張りました。

ので、記念撮影。

と、腕の長いさぶちゃんに頼んだけど・・・・

140311_28バックの八ヶ岳三山はまるで写らず。何処だここは。

ここでのんびりしたい所ですが、時間は既に14時。

急いで降りないと。

さっさか下り始めます。

でも、本当の今日の核心は、写真でも見えている一番切れてる雪稜。

もの凄く細くて、どっちの下に岩があるかも予測出来ないほど。

しかも雪は緩んでるし。

カメラなんて出せませんでしたよ。

後ろでヒヤヒヤしながら、さぶちゃんを見てました。

140311_29ルートファインディングは、しろぷーのが上手いからな。

 ほんと、ここが一番怖かった。

そしてこの後は、とにかく長い下り坂。

疲れた体には、嬉しいさぶ氷のサービスもあり。

140311_30しろぷーには練乳多めね。

長い長いヴァリエーションルート。

ラッセルに時間がかかり、結局駐車場まで11時間もかかった山行でした。

140311_31達成感という幸福が、全身に染み渡る夕暮れ時。

車に乗って動き出したら日没。

さ:『ほんと、ギリギリで降りて来れてよかったね。』

ほんとにね。

この後、ご褒美ラーメンで祝杯し、家路に就いたもおすけでした。

厳冬期ヴァリエーションルート。

そんな山、自分が行きたいとも思っていなかった神戸時代。

今はまだまだ成長したい、行きたい山が沢山ある。

頑張って追いつくから、また一緒に行こうね、さぶちゃん。

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